床に物を置かない

高齢者の死因の不慮の事故は、転倒、窒息、溺水が挙げられています。前回はお風呂の溺水について記載しました (⇒ 足が伸ばせる広い浴槽は高齢者になると不慮の溺死・溺水の危険)ので今回は転倒について調べたことをシェアします。

高齢者の転倒場所の7割以上が住宅内

独立行政法人国民生活センターの調査では、65歳以上の高齢者が転倒等で怪我をしたシーンは、住宅内が約77%、外出先・何らかの施設約8%、一般道路約7%などとなっているようです。また住宅内で怪我をした場所を見ると、リビングや寝室など45%、階段が約19%、台所・食堂が17%、続いて玄関、洗面所・浴室となります。浴室よりも室内の方が圧倒的に多いことに驚きましたが要因を知って納得しました。

リビングでの転倒事故が圧倒的に多い要因

その要因の一つにリビングは階段や浴室などよく言われる注意箇所に比べ注意力が弱まり、下記の要件などがそろうと転倒事故が多発する要因につながります。

リビングでの滑りやすいフローリング、コタツや扇風機やヒーターなどコンセント式家電の電気コードやカーペットの端、床に置いたままになっている雑誌・新聞やカバン・衣類など、転倒を引き起こす要因が沢山あり、さらに高齢者にとって床面の段差や障害物が見えにくくなり、転倒のリスクが増します。

転倒から様々な病を引き起こす恐れも…

高齢者は、一度転倒すると三ヶ月は恐怖心から外に出にくくなってしまう状態に陥り、リビングや寝室に閉じこもるようになってしまう人もいます。その場合、気持ちもふさぎ込んでしまいますし、「廃用症候群」(長期間動かない状態が続くことによって引き起こす心身の機能低下)になりやすくなってしまい、体力・筋力・気力とともに落ち込んでしまいます。また、骨折など安静が必要なけがをしてしまうと、そのまま寝たきりになる可能性がかなり高いです。(私の祖母も転倒がきっかけでした)

床には物を置かない

別の記事にも記載しましたが、私の母は片付けができません。床には買ってきたものを開けた梱包材やビニール袋、食べ物の空き袋などのごみや雑誌、新聞チラシ、自分のカバンに脱ぎ捨てた靴下にタオルなど、何度も注意をするのですが、目を離すとすぐにぐちゃぐちゃに…高次脳機能障害の注意喚起なのか片付けられないのです。

我が家だけではないリビングの床の片付け問題。実際にフローリングの上に散らかったチラシやレジ袋、衣類などを踏んだ拍子に足元が滑って転倒する事例も報告されているようです。こけた先に障害物でさらなるけがをすることもあるので整理整頓、床の上にはものを置かないようにレイアウトを考える必要もあります。

整理整頓は転倒防止だけでなく、物忘れ防止にも効果があり、置いた場所がわからないことのストレスや探す時間のロスなどを軽減するために物の定位置を決めることが大事です。家族がしてあげるのではなく、自分で整理整頓してもらうことも重要です。

室内での行動で急いでいる時や注意力が低下してしまうときなどはちょっとしたはずみでフローリングで滑って転倒することがあり、スリッパや靴下も注意が必要で、転倒防止タイプの靴下やスリッパが販売されているのでチェックしてみると良いですね。

和室においても座布団やコタツの電気コードなど足が引っかかる原因があるので注意が必要です。カーペットの場合、カーペットの端が浮いていると床とのちょっとした隙間にスリッパの先が引っかかり転倒することがあります。床にカーペットを敷く場合は、カーペットの隅用のテープで固定することで転倒のリスクを軽減させることができます。

暗い室内も転倒の原因になり、高齢者の視界は思っている以上に暗かったりかすんでいたり狭かったりするので照明器具を増やす、または現状より明るい照明器具に取り替えることで視界の補助につながります。また、段差や手すりなどは床や壁とコントラストをつけて目立ちやすい色を選ぶことも推奨します。

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