脳梗塞後遺症

私はオーダー家具を製作する仕事をして気がつけば修業期間含めて19年、もうすぐ20年目になりますが、雇われ職人時代は個人宅というよりは設計事務所やゼネコン経由で学校や病院、公共施設や店舗のオーダー収納を作る仕事が多かったです。

家具職人を目指した際に座学よりも身体で技術を覚えろ。勉強すると考えすぎて手が動かなくなると言われたことを忠実に?守り、渡された図面通り問題なく形にすることに注力していたため、

家具の寸法や金具、取っ手、手すりなど仕様を深く追求することなく指定通りに作るのみで、人間工学など詳しい知識は持ち合わせておりませんでした。

雇われ職人を経て独立後から個人のお客様からのオーダー家具製作の依頼を受けるようになり、要望をお聞きしてアドバイスを加えることがあり使い勝手やデザインなどに関する提案をして形に仕上げる経験を積み問題なくこなしていました。

しかし…座学には乏しい私、経験と感覚と技術で成り立つお客様(福祉にはご縁が無い方)とのお仕事だけをしていたため、福祉住環境コーディネーターの勉強をした際に、あまりにも市場や視野が狭く、指定された収納を作ることは出来ても浅はかな知識しかないことを痛感したのです。

思い返すと雇われ職人時代に図面の指示通りに製作してきた家具にも深い意味がある寸法や金物、カラーだった事に気づき、今更ながら経験を思いお越し答え合わせをしています。

  • 取っ手の形
  • 板の色
  • 手すりの径
  • カウンターの高さ
  • 家具金物の選び方

などなど様々な指定の意味を知り、なるほど…とさらに興味深く勉強するようになりました。今後はお客様のターゲットを広げて、未来を見据え、必要な仕様はきちんと説明でき、長い目で必要とされる家具を提案する有意義なアドバイスが出来るようにと知識やアイデアの引き出しを増やしています。

仕事だから真剣なので言葉に語弊がありますが誰かのために最良のことを考えるのは『楽しい』です。この楽しさが人の役に立てたら幸せです。