高齢者・視力低下や手の麻痺をサポートする収納家具の扉を考える

私は家具職人として様々なオーダー家具の製作をしてきましたが、基本的にお客様の要望にお応えする仕事で自分がこう作りたいという作品をお披露目する家具作家・家具デザイナーというスタイルとは違う仕事の仕方です。

その中で介護施設や保育園、病院などの家具も自然と製作してきたのですが、設計士さんが設計するものを作るだけで深く追求した勉強をしておらず、自分が介護する立場になってやっと意味が分かったという仕様もあり、家具に関する知識が乏しく恥ずかしく思うこともしばしばです。

その中の一つ、

視力低下や手の麻痺をサポートする室内家具の扉を考える

家具職人のお仕事ブログより

にも記載していますが、介護施設などの扉は取っ手の部分を明らかに違う色にしたり、と使う人がわかりやすい仕様になっていて、その理由の中には視力低下ということも含まれていることに気付きました。

家具には好みもあり、本体も扉も、室内と一体化していて取っ手のない、フラットですっきりした家具が良いということもありますが、さてこの収納はどこが扉でどうやって開けるの?というのは使う人だけがわかっていたら良しとしていましたが、

それが高齢になると一度説明してもまたわからなくなり、戸惑いがストレスになる家具になるということにつながるのだなあ…っと。だからお客様の好みがあれど、使う人によっては目に見えてわかりやすい取っ手を使うことが大事であるということがアドバイスの一つとして蓄積されました。

介護生活で同居の場合、若い世代の方が世帯主で自分の好きなようにインテリアをそろえたいという気持ちはわかりますが、介護をしている空間だけでも、のちにきれいにはがせるシールでここが開ける場所だよっと目印をつけてあげたり、入っているものがわかるプレートなどを貼る方法も必要だと思います。(それがとても嫌だという美意識があることもとてもわかるのですが…)