階段のバリアフリー福祉住環境計画と注意点

高齢者もしくは身体に障害を持つ方の住まいはワンフロアのマンションや平屋一戸建てが理想とされますが私の実家の例でもあるように、団塊の世代で高齢になることの想定をしていない若いうちに都心部で子育てするために十分な居室の確保ができる建売住宅などの戸建て住宅にお住まいの方も多くいらっしゃいます。

階段のバリアフリー福祉住環境計画と注意点

今の新築住宅はユニバーサルデザイン、福祉住環境を考えられて最初から急こう配で狭い直階段を目にすることは少なくなりましたが、30-50年前に建てられた住宅では手すりがデフォルトで付いてない、建築基準法ぎりぎりの階段寸法など高齢者にとって転倒の恐れがある危険な階段が存在します。

我が家も急こう配の直階段で手すりもない階段ですので、介護状態になる前に、病院の内装工事現場仕事で使用した手すりのあまり材でDOYしていますが、脳梗塞で後遺症を抱えた母親には二階に上がらないようにしており、洗濯機とベランダがあるため、洗濯はすべて私が担っています。

それでは家庭内事故を防げる安全な階段はどのように計画すればよいのか?また注意点について記載します。

※すでに介護認定を受けている場合、等級により基準が変わります

建築基準法による階段の寸法の基準

  • 階段及びその踊場の幅 75cm以上
  • 蹴上げの寸法 23cm以下
  • 踏面の寸法 15cm以上

建築基準法での踏面は15㎝以上で満たしますが、踏面は広い方が安定して足を置くことができます。

できるだけ直階段を避ける

万が一の転倒を考え直階段ではなく、踊り場などを設けた折れ階段にします。逆に、螺旋階段や回り階段は階段幅が均一ではない為、半身まひ等どちらかに障がいがある場合には手すりで補助する必要があるので昇り降りどちらかが内側の狭い側になり踏面が狭く足元が不安定になるためお勧めできません。また、4mを超える場合には踊り場を設ける必要があり、直階段の際は1.2mの踏面が必要です。

階段の勾配を考慮する

住宅内の階段の勾配は蹴上げ(R)と踏面(T)の関係を550mm2R+T≦650㎜、T≧195㎜、勾配≦22/21とするとされています。推奨値は550㎜≦2R+T≦650㎜、勾配6/7 階段には手すりの設置が必要で、特に急こう配になる場合には必ず両側に手すりを取り付けます。一般的に昇降しやすい勾配は30度から35度程度とされています。

蹴込みとノンスリップを気遣う

蹴込み」は、階段の踏み板と踏み板の垂直部分のことで蹴込み寸法は30㎜以下とされていますが、推奨は20㎜以下で、蹴込みには蹴込み板をいれることと、段鼻(踏面の先端)部分の出を極力少なくし、躓かないように凹凸がなるべく少ない(5㎜以下)ノンスリップを取り付けることと、下の段との境目がわかりやすいようにアクセントカラーにすることで視力が落ちてしまった際の踏み違いによる転倒を軽減することができます。

階段の手すりは極力両側・片側の際の注意点

階段の勾配が45°を超える場合は踏面の先端からの高さが700mmから900mmの位置に両側に設置すること、両側に取付できない場合には下りのときに利き手側に手すりがあるように設置することが望ましいです。また、手すりと壁の空間を指や手の甲が当たらないように40-50㎜ほどとります。また、手すりの径は握りやすい系で30-35㎜が適切なサイズとされています。

階段昇降機とは?

住宅事情によりどうしても会談の昇降が必要だけど自力での階段昇降が難しい。といった場合には階段昇降機の取付も方法の一つです。階段昇降機とは、高齢者や障害者が椅子に座ったまま階段を昇降するための装置でおおきくわけて

  • いす式階段昇降機
  • 車いすを乗せることができる階段昇降機
  • 可搬型の階段昇降機

の3つになります。階段昇降ができるだけで生活空間の幅が広がり非常に便利ですが現在のところ、いす式階段昇降機・車いす用階段昇降機の設置は介護保険対象外となっており、自治体によっては補助金や助成金が支給されるケースもあるので必要とされる方がお住まいの自治体にご確認ください。

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