家具職人への道11~修業の根性鍛え直し~

メンタルがグラグラしていて刃物研ぎもうまく行かず、目の前の生活を言い訳に(家賃を払わないといけないので大事なことではあるのですが)バイトに逃げてしまい師匠に干されつつもなんとか刃物研ぎをクリアし…

次の作業にてまたどんくさいことが露呈し向いてない!向いてない!と言われる日々、凹んでいる私はまたもや師匠に干されるような発言をしてしまった私、何を思ったか…何を発言したか…

家具職人への道11~修業の根性鍛え直し~

『お前の根性が歪んでるからまっすぐ切れないし研げないんや!』という言葉を素直に受け止め本当に自分の根性がたまらなく嫌でした。今まで口先だけで生きてきたいい加減さを痛感。そこで…

『師匠、私、根性鍛えなおすためにマラソンしようと思います』

師匠は…はぁ?と言う顔

『そんなことしてる時間あったら研ぎしろ!』

と一蹴。

はい、はい、そうですよね。そうなんですよ。私が尊敬してやまない、法隆寺の西岡棟梁さんのお弟子さんの小川三夫さんも言ってました。修行の身はテレビも新聞も読まず、技術習得のために没頭したと。


技を伝え、人を育てる 棟梁 (文春文庫) [ 小川 三夫 ]

木に学べ 法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫) [ 西岡常一 ]

わかっている、集中しないといけないことはわかっているしかし、私の腐りきった弱い根性を叩きのめすには技術習得に集中するだけではだめだと自分で思ったのです。

とりあえず、干されているのでマラソンはこっそりエントリーして毎日作業に集中していました。週末も生活費のためにバイトです。なので、当然…練習はしていません。

そしてマラソンの当日。バイトを休んでまで参加した貴重な時間、バイトを休む罪悪感もありつつ…(生活費が減るし 笑)スタートラインに立つ私。

マラソンといっても10kmです。

何を思ったか、山のコースです。しかものぼりのきつい山です。初心者なのでよくわからないまま申し込みました。温泉と参加賞が魅力だったからです。

アルバイトを休んでいきましたので相当な覚悟です。当時はマラソンブームではないのでどっちかというと本気モードの方が多く、というかほぼ本気モード…。素人まるだしのジャージを着てスタートした私。

いきなりきつい上り坂、あのカーブを曲がれば下りでしょ?と願うも登っても登っても、まだまだくだりにならず…初めてなので早い人に流されてついていき、かなり無理しました。

もう歩きたい、歩きたいけど、歩いたら自分に負ける気がする

そうだ!願掛けしよう。

歩かなかったら刃物研ぎがうまくなる!

歩かなかったら刃物研ぎがうまくなる!

歩かなかったら刃物研ぎがうまくなる!

呪文のように唱えました。絶対こんな願掛け私しかいないと思います(笑)

練習もしていないし、足も痛い。なんで私はこんなことを…と思いながらこれで歩いたら終わり。と言い聞かせとにかく前に進むのでありました。師匠ごめんなさい。言うこと聞かない上、こんなに足が痛くなって…

師匠に反対されつつも無謀な山のマラソン大会に出て

何でこんなレースに出たんだ。苦しいよぅでもコレを完走できたら研ぎがうまくなる

っと勝手な願掛けをしてアクセルを踏み込みました。持ってる力全力です。といっても相当遅いのですがとにかく悔いなくやりきろうと思いました。

その結果…なんと!!

準優勝

えーーーー。。。。ビギナーズラックっていうやつ???

ランナーらしくないジャージに首にタオルを巻いてジョギングの延長スタイルだった私。同じ位置で走る男性に、『タオルなんて巻いて走ったら呼吸がしにくくなってよくないよ』と教えられたりするほどの初心者(笑)

根性根性だけでなりふり構わず走っていたらなんと2位です。苦しすぎて景色を覚えてないのですが、ゴールをして結果を見たときに本当にびっくりしました。完走できただけでも、研ぎがうまくなると思い込んでゴールしたのにとんだご褒美でさらにテンションが上がりました。

ひとつのことをこなすと、不思議に、モチベーションが上がるんですね。翌日からは、人が変わったように、黙々と作業に集中し心なしか技術も向上してきたのです。

もちろん技術向上だけに集中しなきゃいけないと、マラソンに反対していた師匠には言ってませんが、私の中ではランニングをしたことで、集中力と気持ちが強くなったことは
実感しています。

それから、スツールを作ったりローデスクを作ったり時間がかかってた研ぎ作業をスムーズにこなせるようになりました。

しかし、現実の家具職人で食べていくという道はまだまだ遠く…

家具職人への道12~就職も求人もない!~につづく

編集後記

私はあのときに走っていなければ、夢が叶っていなかったのではないかと思うくらいです。遊びとか健康志向ではなく、自分が変わりたいと思って始めたマラソン大会出場はその後も続き、仕事の息抜きと根性鍛え直しで出場しては走るときだけは無になってまた仕事するという繰り返しでした。

また田舎に移住してから仕事仕事仕事の日々で強制的に休むためにも年に何回か近場のマラソン大会にエントリーして午前中だけレースに出て昼から仕事をするというスタイルでした。

いつの日からマラソンが縁で知り合いもでき、仕事ばかりで友達もいない生活に違う刺激が入りました。私が仕事仕事でマラソンどころではなく、会場で会おうという約束を守れないことたくさんあったのに変わらず接してくれる…。

倒産とか、無職で食べることもままならず走ったらお腹がすくから走らないっとマラソンから疎遠になったあとでもずっとその人達は心の支えでとても大事です。