家具職人への道10~修業は守破離が大事~

家具職人の修業で心がゆらぎ生活のためにとバイトへ逃げ、師匠に無視され始めた私。研いだ刃物を見せてもそっけない態度。そんな中、バイトの比重も多くしたことは家具製作の技術習得をサボっている自覚があり、後ろめたさもあり

自分は家具職人には向いていないんだと自信がないことと生活費の不安もあり精神状態が良くないため集中力が欠け、その乱れが刃物に出る。

家具職人への道9~道具の手入れ漬けの日々~の続きです。

家具職人への道10~修業は守破離が大事~

鉋の刃を見せに行く


やり直し。

割られる。

一日中、研ぎ場で立ちっぱなし。

割られる。

の繰り返し。

意地でした。意地以外の何者でもない。精神統一とか考えてられない。とにかく意地だけでどうにか、次に進みたい、焦る気持ちが刃物を研ぐことをクリアしたくなってきました。

他の人はどんどん進んでいく。私はダメ。

私はもう…比べることは辞めてこの際、完璧になろうとへたくそなくせに完璧主義に徹底しました。

家用にも砥石を買って持ってかえって研いで、朝一番に来て研いで…と3ヶ月経過したあるひ、、、なんと、合格をもらえたのです!

やったー!

次は小鉋の刃物研ぎ。。。。

また研ぎかよ!

と思ったのですが調子が良かったのか研ぎ方が身に付いたのか、すぐに合格!

次は、台直し鉋の刃物研ぎ。。。。

台直し鉋というのは、鉋や小鉋の台(持ち手といったらわかりますでしょうか)を、直す鉋です。

刃先が出る台が真っ直ぐじゃないと、木を削るときにキレイに削れないので鉋台を鰹節よりも薄い、もう、パンストくらいの薄さに削ってつやつやの表面に仕上げるのです。

台直し鉋は刃の角度が違うため、また違った研ぎ方のコツが要り確か4日間くらいは研いで合格をもらいました。3ヶ月に比べたら4日は全然早い(笑)

そのあと、、、鑿10本けびき用の刃も研ぎずいぶん時間がかかりましたが、進んでいくと面白くリズムに乗るとドンドンできるのです。とはいっても心が乱れるとまた刃先が乱れるのですが…。

今度は、鋸(ノコギリ)でまっすぐ切る練習

これは楽勝!っと思いきや、、、ぜんぜん真っ直ぐ切れなくて、また、お持ち帰りでやりました。でもぜんぜん、真っ直ぐ切れないんです、見てるだけだと簡単じゃない!と思いますが、実際すると思うようにいかず、

『お前の根性が曲がってるからだ』

とよく言われました。しぶしぶのラインで合格をもらい、今度は実際削ったり、面を取ったりです。削るためにまずは、鉋の台直しから。そして、削る。30cmの定規を当てて、真っ直ぐになっていないと不合格。

うまく出来ず、削れば削るほど、刃物の切れが悪くなりまた研ぎへ。その場合の研ぎは、もう師匠に見せる必要もなく研いだら、刃物を見せずに、そのまま削りの続き、というかんじでした。

研ぎも完璧に習得したわけではないので刃先が丸くなっていることもあるのに早くクリアしたいがために、刃物を中途半端に研いで削ったら削り面が粗く、不合格。

せっかちな性格がもろに出ます。なんどやってもうまく削れない、焦らず研ぎをきちっとやり直しすればいいのにすっ飛ばしてしまうせっかち。自分の欠点が全て浮き彫りになるので自己嫌悪の塊でした。

本当に、口だけで生きてきた、いい加減なやつだと自分で自分を責めに責めて、帰り道に大泣きした挙句出した答えは…

師匠、私、もう1回はじめからやり直すので刃物研ぎからチェックしてください。

と、あれほど時間を費やして苦労したクリアした刃物研ぎをもう一度はじめからするなんて、また時間がかかりますよね…色んな技術を学びたいから、皆、そこそこにクリアしたら次へ次へ進むのです。

限られた時間にいろんなことができる方が確かに経験豊富になるのでいいと思います。しかし、私は意地だけで時間を費やして、何とか叩き込んだけど体で完璧に覚えてないことと、このままクリアしてもどの仕事をしてもいい加減なままだと思ったのです。

守破離、、、

とにかくシュハリだ、、、、

まずは鉋を完璧にマスターせねば…っと、また研ぎ場で一日を過ごすことになったのです。それはそれはもう疎外感たっぷりでした(笑)

またそんな疎外感たっぷりな中、私は根性を叩き直すためにとあることに挑戦しようと思い、自分でよかれと思って師匠に話したのですが猛反発をくらいまた干されることに…

家具職人への道11~修業の根性鍛え直し~につづく

編集後記

この頃法隆寺の西岡棟梁とそのお弟子さんの小川三夫さんの書籍に出会いました。何度も読んで読んで未だに読み返すとその時の自分の立場によってまた違う立場の視点で気づきを得ています。

木のいのち木のこころ 天・地・人 (新潮文庫) [ 西岡常一 ]

不揃いの木を組む (文春文庫) [ 小川 三夫 ]

技を伝え、人を育てる 棟梁 (文春文庫) [ 小川 三夫 ]