正論より先に傾聴と共感を意識する

家具職人が辛くて辞めたいと悩む人から相談を受けることがありますが、辞めたい理由やつらい内容によってはご本人の考えを改めたほうが良いと思うこともありました。そこで相手を想いあえて厳しく正論を言ってしまうこともありましたが実は自分の価値観の押し付けだったのかもしれません。

歳を重ねるにつれ人にはそれぞれの考え方や苦手なこと、できないこと、得意なことがあり、また家族背景によっても選択肢は様々あって自分が耐えられることでも人によってはどうしても無理なこともあるので、そこで厳しく正論を突き付けることで悩んでいる人をさらに悩ませてしまったこともあるのではないかと思います。

正論は正論で必要ですが、まずは相手の苦しみ(なぜ職人を辞めたいのか、何が辛いのか)に耳を傾けてその苦しみに寄り添うことからはじめること、自分が平気だからといってみんなが平気ではないということの自覚、気力や体力や信念の違いからずれてしまう価値観など意識することが大事だなと。

当然、共感しづらい価値観もあって、否定・批判したくなることもありますが、その人にとっての正義を全否定して自分の正論を説き伏せたとしても分かり合えない人はどうしても分かり合えない。

そうやっていつか自分の周りには良くも悪くも同じような価値観の人が集まり、ついつい違う風が入ると窓を閉めたくなるのですが、違う風が入ることで今漂っている空気を入れ替えることもできるので自分にも新しい発見があり、学べることにもつながります。

よく考えると、自分がオーダー家具を受注するときに自分の好みを主張することはなく、お客様の好みや要望に傾聴し、お客様の気持ちを理解して、そこから具体的に予算に合わない部分とか、こうした方がよいという提案などを踏まえて打ち合わせが進んでいくので、同じことなのだとここまで記事を書いて気づきました。