家具職人筋トレ

先日Twitterに『今日は1枚40kgある大きな材料を一人で25枚ほど切る事から始まるのですが毎回この作業の際は腰が大丈夫で良かった、脳血管が無事で良かったと安堵して終えています。その度『今日が終わるたび胸を撫で下ろすなんてやめよう』という歌詞に前向きさを感じていた若い頃に描いた時と真逆の価値観を受容中』
Don’t wanna cry /安室奈美恵

と記載したところメッセージにて

『女性で40㎏の材料を運ぶって仕事とはいえ大変きついと思うのですが、家具職人として仕事のパフォーマンスを上げるのに普段筋トレとかしているのですか?』

と質問がありました。2019年にブログ記事が全部消滅した際に復旧できず消えたかもしれませんが過去にも筋力の話を書いたことがありまして重複するかもしれませんが記載します。

私は家具職人として仕事のパフォーマンスをするためにあえて筋トレは一度もしたことがありません。仕事をしていくうえで道具を安定してしっかり持つための筋肉、周りに迷惑かけないように一人でできるだけ材料や製品が持てるように必要な筋肉が自然について筋力もアップしました。今回のは継続して何時間㎏の原板をパーツに切り続けるので一瞬だけ持てるだけではだめなのです。

私の場合ですが家具職人見習い時に女性職人が邪魔でうざいと思っている先輩に『一人で持てないなら仕事するな』と(先輩の手を煩わせて時間を奪うなという意味がある)一喝されてからすごく意識して意地になるほど周りの人が一人で持っているものは確実に一人で持てるように仕事しています。そうすると40㎏の材料が一人で持てない男性を抜いてしまったのですが(笑)

一人で持てるということは余分な人件費も不要なので利幅も上がりますし1回で運べるところを2往復になると時間のロスも大きいです。ですので貧乏性も相まって一人でできることは一人で、が身に付きました。ゆっくり創作活動とは随分かけ離れた仕事の所作ですね。

前に現場で重たい家具を運ぶ手伝いを依頼してテキパキ動く搬入・荷上げ屋さんに筋トレしてますか?と聞いたら『してないしてない!仕事で身についただけ』とおっしゃっていて『そうですよね~めんどくさいですよねわざわざ筋トレって。』と会話をしました。

もちろん筋トレしている人もいると思いますし、小物ばかり使う人はわざわざ筋トレしなくてもよいと思います。私は基本的に収納家具製作が多いので壁面いっぱいの棚とか長いカウンター収納とか引き出しがいっぱいのオーダーキッチンなどになると重いのでヒョロヒョロの家具職人修業前の自分と比べるとたくましくなりました。何より家具職人として道具を使いこなすのに筋力がないと正しく使えないので失敗を繰り返した鍛錬から自然に身に付いた感じです。

本当に未経験の場合は一番最初に体力で躓くのでまずは仕事時間内に立ちっぱなしで入れる脚力と道具を安定して持てる筋力は必要だと思います。

私はこの筋力が今後、一日中座り仕事をしている場合と比べると、ずっと何かしら動いて足腰も強いので老後の体力衰退が緩やかになるのではと思うと仕事内容がありがたいし手先も使うし頭も使うので認知症予防になるかもと、良い仕事の選択だったなとも思っています。(腰痛やケガにだけは注意…)