質問・家具職人の学校と就職ではどちらが技術が早く身につきますか

家具職人ブログに寄せられる質問の中に、家具職人の学校で勉強するのと木工所に就職するのとではどちらが早く技術が身につきますか?と悩む方が定期的にいらっしゃいます。

個人的な答えは就職した方が技術習得は早いですが、自分が描く家具職人像によりその選択が合っているとは限りません。

当然、私の答えが正解ではなく、様々な答えがありますし、個々の特性により協調性とか器用さなどでは違いがあります。私は成功者ではなくまだ過程なので参考程度でご覧ください

木工所に就職した方が技術習得早い理由

なぜ家具職人として一人前になるために就職する方が技術を身に付くスピードが早いかというと

  • 給料が支払われる仕事の責任が生まれる
  • 戦力になるための技術を実践で学べる
  • 必要な技術のみ集中して習得できる
  • 自分のレベルがわかる

(一般的な感覚として)

などの理由が挙げられます。要はお金をいただく仕事なので緊張感や責任感、納期に間に合わせるなど実務をすることで

出来ない、わからない、

などと考え込んで自分だけの都合で立ち止まる時間もなく、とにかくやってみてみるしかないと追い込まれることで前に進めたり、

先輩や上司にその会社で必要な技術を的確に指導されたり失敗をカバーしてくれたりすることで、自分が今どれくらいの技術習得はあるのかに気付きやすく『早く一人前にならないと』と思えるからです。

ただ、それは『その会社の技術』が身につくのであり、家具職人として全体的な知識や技術が身につくわけではありません。

特に、家具職人になりたい像が明確であるほど現実の仕事内容の違いに嫌気がさして辞めてしまうケースもあります。

関連記事→ 質問・家具職人になりたい理想と現実の仕事

家具職人育成学校で勉強するメリット

家具職人の学校は家具デザイン専門校など除くと

  • 職業訓練校(高等技術専門校)
  • 民間の木工学校
  • 企業の研修学校

などがあり、木工の基礎勉強や道具の手入れ、基礎作業などをカリキュラムで受けたのちに木製品の製作や森林についてのワークショップなど様々な分野の情報を得て勉強し自分の方向性を見つけて行きます。

基本的に卒業後は自分で仕事探しをします(企業の研修学校はそのまま就職)。ですが学校を出ているからというだけでは就職に有利とは限らないことも念頭に置く必要があります。

ただ、学生の間は自分の技術向上に自分のペースでどっぷり時間を費やせるので、納期や予算、会社のやり方などのしがらみに邪魔されずに目指す方向の作品作りに向けて着実に身に付けることができますね。

学校で学んだことが企業で全く必要ないこともある

家具職人の基礎技術をいくら身につけても、いざ就職する場合には機械化されていて刃物を研いだり無垢の木を取り扱ったり塗装をしたりが全く無い木工所もあります。

全く勉強せずに高卒で就職したベテランも鉋が使えなかったり無垢の木を削ったり塗装をしたことが無い人もいます。要はその木工所に必要な技術を実務で磨いてきた人で、会社にも重宝される技術者です。

家具職人の学校は独立思考には合っている

家具職人の学校は独立して工房を持ちたい夢を持つ方には有意義な時間が過ごせるかと思います。技術、人脈、将来像が自分の思いのままのペースで勉強して築けるのは、

無知のまま就職してお金をいただくプレッシャーと比べると、学校は自分との戦いだけなのでストレスは低く自分に必要なこと、やりたい木工見つける時間があるのも魅力ですね、

(↑もちろん好きなことを探求する間も生活が成り立っている方ですが)

卒業生の工房の手伝いをしたり、紹介を受けて道が開く可能性もありますし、同じような価値観の人との出会いは描く未来に向けて貴重だと考えます。

ある程度生活がキープできる状況であれば学びの時間に費やして独立することが余計な遠回りはなく理想に近づけるのかな…(私は生活にも追われてたから遠回りばかりなので羨ましい…)

家具職人は独学でも独立できる

極論ですが、家具職人は就職や学校に行かなくても独学で独立しやすい時代でもあると考えます。

なぜならインターネット上でたくさんのノウハウが公開されていて趣味でDIYをはじめてSNSでファンやお客様に購入していただけることが容易にできるプラットフォームが整っているから生計を立てることが可能だからです。

私はネットが充実していない中、家具職人を目指したから手法が違いますが、独立して自分のファンを対象に販売することで自然と技術向上するでしょうし、声も直接聞けるので喜びも大きいと思います。

わかりきっていることですが、独立できることは簡単ですが、仕事がいい加減だと成り立たないので独立は失敗します。しかしその気付きからまた立て直すことも可能です。

技術習得のスピードや身につけたい技術、未来の姿への道順は人それぞれ、何が自分にとって必要かを考えて行動してみた先に、思う以上にやり方はたくさんあります。

自分が好きなものを創る趣味と違い、仕事として成り立つには使用・所持・展示どれにしても『必要とされるもの』を創る共通点はあると思います。