和歌山カレー事件ドキュメンタリーマミーと秘密と嘘を重ねる生きづらさ

先日やっと、和歌山カレー事件ドキュメンタリー映画マミーを観に行きました。映画の感想と、言えない悩みを抱えた生きづらい人生について記載します

→ 映画マミー公式サイト

1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは近くに住む林眞須美。凄惨な事件にメディア・スクラムは過熱を極めた。自宅に押し寄せるマスコミに眞須美がホースで水を撒く映像はあまりにも鮮烈だった。彼女は容疑を否認したが、2009年に最高裁で死刑が確定。今も獄中から無実を訴え続けている。

映画マミー公式サイトより

検証や取材の様子を拝見するにつれ、両親のことに尽力する姿、YouTubeの対談(大人の教養TVや街録ch)などでも『やってるなら一緒に謝罪・許しを乞うし、(死刑を受け入れるという解答もありましたが)やってないなら助けてあげたい』という長男さんの想いも併せて、再審につながって欲しいと願います。

ジャーナリストさんや息子さんのお話をYouTubeでも観てきた中で、私という素人の偏りもあるかもしれませんがやはり保険金詐欺とカレー事件は別の事件で、カレー事件を起こす動機とか証言の食い違い、口を閉ざす人々、この観点から違和感を持っているので再審派です。


ネタバレになるからハッキリ書けませんが、保険金詐欺で逮捕され罪を償い出所した父親は現在車椅子生活。

正直なところ、映画内での父の話や過程を知るにあたり息子さんが車椅子を押して父に寄り添えるまで気持ちを持っていけたのが素晴らしいと思います。父への言葉尻も優しい。私なら難しい…(街録chで大山さんとの対談でお気持ち色々わかりました)

勝手な想像ですが個として父の考え方や捉え方を理解するよう努め、母に対するインタビューなど年老いた父の代わりに受けるように決意したのは父のためというよりは母の為であり、親子2人で法と戦う必要がある絆もあるからなのかなとか私なりの憶測が巡りました。

※あくまでも私の生きてきた価値観から生まれた感じ方ですので当事者の方々の想いではないことをご了承ください


ここからはYouTubeなどからの息子さん本人の告白で感じたことから『嘘をつく生きづらさ』について書きます

事件後の生活として、近所から悪口いわれ、友達もいなくなり、逮捕後には施設にいき、性被害にあったりイジメや家出などを乗り越えて就職するも長男だという事がバレてクビになったり、秘密による嘘を重ねる必要がある為に友達と本音で話せなくて誤解されたり、婚約破棄になったりと様々な苦悩を抱えながらも30歳くらいには親を恨む気持ちは全くなくなった、感じなくなったとのこと。

『やってない』という母の言葉を信じ、味方をして最期まで見守ると決意し今は全て話しているから、ジャーナリストさんや取材で話す方が疲れないというのは気持ちわかります。嘘つかなくていい、事情が分かる人との会話は壁が無いですね。

というのも、話のスケールや立場が全く違うので同じにするのは失礼ですが、私は学生の頃からリアルの知人には言えない生い立ちがあり、話したいけど言えない、彼氏や親友にも相談したことがない家族の問題を抱えていました。言ってはいけないと思っていたし人に頼ることも知らないし、誰に対しても明るく振舞っていました。

その後、社会人になると悪気もなくただのコミュニケーションとして生い立ちとか家族構成を聞かれる機会が増えます。私としてはだんだん割り切れてきたので別に気にせず話してもいいのですが、聞かされた方が困るだろうから言わないようにしています。

しかし、この言えないことにより価値観のズレや誤解を招くことも多く孤立することもあるし、嘘をつく(隠す)ことで本当の自分汚考えもうまく解釈されず、そのことで不完全燃焼で自分自身が生きづらさを感じることも強いストレスなのです。 

似たようなニュースが流れるとSNSでは批判的なコメントにあふれ正論ではあるけども、そのことを家族としてようやく理解して許す選択をした自分が間違えているのではないかと悩みます。ブログなど自分のことを直接知らない人には気にせず言えますが、リアルではやはり言わないようにしています。

また、他にも思い悩んでいる家族問題も、今自分がなぜこういう状況になっているかを伝えるために告白してしまいたいこともあるけど、姪っ子や甥っ子、他の親族のために黙っていることもあり誰にも相談していません。こういう観点から、社会人になってできた知り合いにも家族問題で言えないこと、嘘をつかないといけない苦悩の部分には同じ思いを抱きました。

自分の環境を投影してしまい映画の感想とはズレていますが、長男さんの告白について胸の内を曝け出せた方が楽になるし、救われるし、味方や応援も増えるだろうと思う反面、バッシングや批判にも耐えられる強さも必要だと思いました。

母を信じて最期まで責任を持つと決めた息子さんの心身が壊れてしまわないよう、納得いく方向に向かうよう願っています。

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マミーは大阪十三のセブンシアターであとわずかな上映ですので足を運べる方には観ていただきたいし、遠方であればYouTube対談なども観て事件を知って、考えるキッカケになると良いです。

【前編】和歌山カレー毒物事件 林眞須美 死刑囚の息子/保険金詐欺で数億稼ぎ報道陣に追い込まれ家族崩壊/無罪主張も逮捕された母
【後編】林眞須美の長男/両親逮捕後の地獄の人生/不当解雇/婚約破棄/集団暴行/22年無罪主張の母と真犯人の可能性…
死刑囚の息子達/和歌山カレー事件×広島連続保険金⚫︎人事件/あわせたい2人
【マスコミの闇】死刑囚・林真須美の長男に毒物カレー事件の真実を聞きました

ちなみに、『どうすればよかったか?』も観たい映画なのでタイミング狙っています。

どうすればよかったか?
どうすればよかったか?

どうすればよかったか?は、2024年に公開された日本のドキュメンタリー映画。映画監督の藤野知明が統合失調症を発症した姉と彼女を取り巻く家族を20年にわたってカメラを通して対話を重ね、社会から隔たれた家の中と姉の姿を記録した映画です。

映画『どうすればよかったか?』公式サイト