家具職人体験談2・修業から20年目経過して座学の勉強が先か考える

家具職人になりたいと、修業の門が開いてから20年目の私、正直あっという間だでしたが振り返るとまっすぐ家具製作に勤しんでいた人生ではありません。ですので教科書的なお手本には程遠いですが、今回は家具職人体験談1・修業から20年目にしてやりたい仕事となりたい理想と現実を考える の続きで、家具職人になるために必要な勉強について何をすればいいのか?と相談をよく受けるので自分の時代背景と現代との差異はありますが経験を記載します。

先輩に家具職人になるために座学を勉強したか聞いてみた

私の周りの家具職人の先輩、いわばこれから目指す人と私との年数の差と同じく20年以上先輩や10年先輩、同世代など会話の中で家具職人になるために座学を勉強したかを聞くと、勉強した人はほぼゼロでした。いわゆるいきなり実戦での見習いが多く、手を動かして体得するという典型的なスタイルです。私もカンナの種類とか継ぎ手の名前、木材のことについての基本的な座学だけしておりますが正直、しっかりと忘れずに覚えていることは体得したことのみで鉋の種類なども座学でしても実践で使って初めて記憶していく感じです。

今となり、インテリアコーディネーターや福祉住環境コーディネーターの勉強をしたことを職人さんにシェアすると、そうなんや!設計図面で作っているからそういう意味があった寸法ということは知らなかった!などといった、ことが多くあります。かといって作り手としてのお仕事なので座学的なことを知らないから仕事ができないわけではなく、皆さん技術は身についています

家具職人の修業前に師匠にいわれたのが『大卒は遅い』『勉強ができる賢い人は家具職人に向いていない』ということ。幸い?私は大卒でもないし(年齢的にもギリギリセーフ?)勉強よりもバイトばかりで頭も賢くないので単純に私は向いているんだなんて軽々しく思う浅はかなバカでしたが理由があるようです。

なぜ勉強しすぎて頭が良いと家具職人に向いていないのか

勉強しできる賢い人は頭で考え、理解できるまでため手が動かない、でも理解するには手を先に動かしてみないといけないから体得するのに支障が出ること、年齢を重ねると柔軟に習得できないことがあげられました。私は素直に師匠の言うことを聞いて座学よりも体得を優先にしてきたタイプです。

いわばバスケットボールのシュートフォームを座学やビデオで学んでも、実際にシューティングをしないと自分の技術として身につかないし投げてみないとわからないし次に進めないということ、料理レシピを見て覚えても実際に作らないと料理を覚えないことと一緒だということですね。

私は頭の賢い人の勉強の仕方のコツや特徴がわからないのでこの説があっているのかあっていないのかわかりませんが、宮大工の西岡棟梁も同様のことをおっしゃっていましたし設計士さんとよくケンカになっていたそうです。

ただ実践していくうえで木取り時の必要な材料の計算や寸法出し、積算、など数学的なことは必要です。

家具職人の座学勉強は後ですればよいか

私は技術が先、勉強は後、でやってきていてその順番が自分の中ではあっていました。もともとの性格が座学に不向きの実践派だったからです。宅地建物取引主任者の資格を取得した時も実践があったからこそ座学が飲み込みやすい勉強もあり、教科書だけでは言葉の意味さえ分からずちんぷんかんぷんでさじを投げていたと思います。要は勉強方法が頭の良い方と違うのです。

少し前にテレビで高学歴の人ばかりの大工さんの会社が紹介されていました。そこの社長曰く、頭脳が高い方が良い仕事ができるという結果が出ているようですのでその話を聞いてみると確かにと思うことも多く、先に知識があることも成功する正解の一つだと思います。(私が頭脳の高い人の本当の行動が理解できていない為、師匠や書籍の言葉で座学は必要ないという思い込みがあるだけかもしれないと思うようにもなった。)

また、職人仕事とは関係なく、同じようなIQの集まりだと会話も打ち合わせも伝わりやすいので 物事がスムーズにいきやすく 人間関係のトラブルも少ないようで、私自身がそれを経験で (自然ガイド活動で大学の教授とか専門家、研究員の方たちと接する機会が増え)納得することができたのは35歳越えてから(汗)

結局は基礎知識の有無のスタートの差はあっても仕事しながら勉強していくということはどちらも同じです。私自身、後から必死になって勉強をすることが多く、その理由は20年経過してしみじみと身に染みる出来事があったのです。それは次の機会に。

家具職人は整理整頓と人の気持ちを考慮することが大事

家具職人になるために勉強も大事ですが、整理整頓ができることとお客様や周囲など相手を想って行動をすることが大切です。人と接するのが苦手で黙々と物作りをしたいという動機の人もいますが黙々と作った先には手にするお客様がいて、相手のことを想っているのです。( 自己満足で作って収入にならないのは仕事ではなく趣味です。 )職種は違えどどの仕事でも同じような大切なことがあり、特に職人だけに特別な条件はないのです。

家具職人体験談5・家具職人に向いている人の意味を知るにも記載しています。