家具職人になるにはと迷走して気が付けば20年目。まっすぐに同じことをし続けているわけではないので何もかもが中途半端ですが中途半端ゆえの失敗談がこれからの家具職人として将来性を感じている方の反面教師になるであろう家具職人体験談2・修業から20年目経過して座学の勉強が先か考えるの続きです。
家具職人になりたいと思ったのは子供の頃に友達の木工所のお父さんが婚礼家具を自作したという話をその家具の前、友達の家のリビングで聞いた時の衝撃だと家具職人への道1で記載し、一度諦めた(忘れた)ものの思い出したかのように住宅販売営業からの転身ですが、当初の自分は家具職人って木に携わるすべてのことができると思っていて修業後どのような木工所で働いても鉋や鑿を使って無垢の木で椅子やお皿や器なども作る機会があり技術も身につくと思っていました。
そしていつかは木工作家さんのギャラリーのように、自分も田舎で工房を開いて細々と木工作品を作る日々を送りたいなあ!っと夢を描いていました。
木工所の家具職人にも特化した分業・種別がある
当時の私は今と違って『女(女性)だから』ということで修業の場も就職の場も少なく自由に選べる選択肢もありませんでした。とにかく木工の世界に滑り込んでそこからいずれやりたいことをやれるようにとしがみつくようにオーダー家具を製作する木工所で経験を積む機会を得ました。
そこで知ったのが家具職人といえど勤める会社で実践・習得できる仕事内容が全く変わるということ。
- 椅子やテーブルなど脚物家具
- 収納など箱物家具
- ベッド・ソファーなど置き家具
- 仏壇や欄間、桐箱などの仏具含んだ彫り物
- 轆轤や組木を使った生活雑貨や小箱など(小物家具)
- 無垢ORフラッシュ家具
とその他いろいろそれぞれの木工所や工房により1から一人でつくるか、分散してパーツを作るかなど含め仕事内容や使う機械や道具が全く違い、木工技術すべてを仕事を通じて習得することは勤めている時間内としては困難です。(ご存じなことが一般的かもしれませんが、私は知りませんでした)
私はオーダー収納家具がメインでそれに特化した木工機械設備が整っていて15人くらい職人さんがいて渡された図面を1から自分で考えて作るというスタイルでした。自分がこんな仕事をしたいという要望ではなく、会社が受注した家具をそれぞれの職人に振り分けてこれを作れと言われるものを納期内にきちんと作るということです。
その後も収納家具を作る木工所を転々とし、月日が経過し自分の仕事に必要な技術が身についたという流れです。ですので、無垢の椅子とか木の器とか轆轤を使った木工品作りという技術が身についていません。自分のやりたいことはアフター(独立後)でと思いながら目的半ばです。
家具職人になりたくて木工所に就職するも意外と辞める人が多い
家具職人になりたくて求人募集を探して木工所に勤めるも自分が思い描いた仕事内容じゃないと辞めるケースもあります。特に比較的求人が多い機械化した量産工場などではその傾向が強く常に人材不足という悩みを抱える木工所もあります。
私の場合はとにかく、木工業界に入ることが先決だったことと生活費にも限りがあったため森林たくみ塾などといった木工スクールに通う選択肢がありませんでしたが、今なら自分がしたい仕事内容の弟子入りとか見習いをするために準備をしてまっすぐどっぷりつかることができていたらこんなに遠回りして中途半端に年月を重ねないでよかったと思うこともあります。(もちろん、遠回りでも得えたものは全部未来に役立てています。)
ですのでこれから家具職人を目指す方は、木工作家になりたいのか、家具職人になりたいのか、どのような仕事をしたいかにより、適した選択肢がストレートに見つかると良いのになと思います。
家具職人体験談4・よくある修業から10年で独立の根拠は正しい?に続く